「下垂体性PRL分泌異常症(プロラクチノーマ)」で「障害年金」を請求される方に、申請ポイントをお伝えしたいと思います。皆さまの何かしらのお役に立てればと思います。何かありましたらご遠慮なく下記フォームにてお問合せ下さい。

1. 下垂体性PRL分泌亢進症(プロラクチノーマ)とはどのような病気ですか

プロラクチノーマは、乳汁分泌の作用があるホルモンであるプロラクチンが過剰に産生される下垂体腫瘍です。高プロラクチン血症により月経異常や不妊症となり、妊娠・出産していないのに乳汁漏出がみられます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

平成11年度(1999年度)の厚生労働省研究班による全国調査では、1998年1年間の推定受療患者数が、プロラクチノーマを含むプロラクチン分泌過剰症で12,400名と報告されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

プロラクチノーマは、男女比は1:3.6と男性には少ないですが、大きな腫瘍が多いです。発症年齢は、女性では21~40歳に多くみらますが、男性では20から60歳にかけて均一に分布しています。

4. この病気の原因はわかっているのですか

プロラクチノーマが発生する原因は、一部を除きまだ十分にわかっていません。

5. この病気は遺伝するのですか

遺伝は大多数の例で関連ありません。プロラクチノーマの一部で遺伝が関与する疾患として、プロラクチノーマ以外に副甲状腺や膵臓に腫瘍が発生する多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)があります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

プロラクチノーマの女性では月経不順、無月経、不妊、乳汁分泌が、男性では性欲低下、勃起障害やまれに女性化乳房がみられます。プロラクチノーマが大きい場合、圧迫症状として、頭痛、視力低下や視野狭窄がみられます。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

プロラクチノーマに対する治療の第一選択は、薬物療法です。ドパミン作動薬であるカベルゴリン、ブロモクリプチンやテルグリドを内服します。薬物による治療成績は良好で、治療開始後速やかに血中プロラクチン値は基準範囲内に低下し、乳汁漏出や月経異常の軽快、下垂体腫瘍の縮小が得られます。一部の薬が効かない腫瘍や副作用のため薬の継続が困難な場合には外科治療を行います。腫瘍の大きさなど一定の条件を満たしたプロラクチノーマは、熟達した脳神経外科専門医による外科的摘出で治癒が期待できます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

ドパミン作動薬を2年以上内服し血中プロラクチン値が基準値内となるも、依然として下垂体腫瘍が消失しない場合は内服の継続が必要です。服薬中止を検討できる条件として、2年以上薬による治療を継続することにより、血中プロラクチンの正常化と下垂体MRI検査で腫瘍の消失がみられた場合が挙げられます。閉経前の女性でプロラクチノーマによる無月経を長期間放置すると、骨密度が低下し骨粗鬆症となります。プロラクチノーマ女性例では、ドパミン作動薬の規則的な内服や妊娠・出産により、下垂体腫瘍が自然に消失することもあります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

自己判断でのドパミン作動薬の服薬中断で、下垂体腫瘍が増大することがあります。指示された用法や用量を守り、定期的に医療機関を受診することが必要です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

引用元:下垂体性PRL分泌亢進症(指定難病74)

下垂体性PRL分泌異常症(プロラクチノーマ)についての解説は以上となりますが、「下垂体腫瘍」についてもう少し見ていきたいと思います。

1.脳下垂体について

脳下垂体は大脳の下にあり、大脳から下に垂れさがる形をしています。物を考えたり手足を動かしたりする大脳と異なり、脳下垂体はホルモンを分泌しています。

2.ホルモンについて

生体内の特定の器官の働きを調節するための情報伝達物質です。健康維持のための機能を調節する働きがあります。体の健康を保つ為の潤滑油のようなものです。ホルモンは巧みに調整されていて、多すぎたり、少なすぎたりするとさまざまな疾患を引き起こします。脳下垂体から分泌されるホルモンには、以下のようなものがあります。

成長ホルモン(GH)

成長ホルモンは、成長期に身長を伸ばす働きをします。成長期を過ぎても一生涯分泌され、筋肉や脂肪に働いて代謝を調節して身体機能を整えます。また、心理的な快活さを生み出す効果もあります。 →このホルモンを過剰に分泌する腫瘍が成長ホルモン産生下垂体腺腫です。小児期では巨人症、思春期以降では先端巨大症(アクロメガリー)の原因となります。

プロラクチン(PRL)

プロラクチンは、乳腺の発育・妊娠の継続に関与します。 →このホルモンが過剰になるのが、プロラクチン産生下垂体腺腫(プロラクチノーマ)です。月経不順・無月経・乳汁分泌がみられます。また不妊症の原因の一つにもなります。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

ACTHは腎臓の上にある副腎に作用してコルチゾールというステロイドホルモン産生に関与しています。コルチゾールは、体温・血圧・血糖・電解質などの身体を維持するための代謝調節を行っています。 →このホルモンが過剰になるのが、ACTH産生下垂体腺腫です。別名、Cushing病と呼ばれます。Cushing病では、高血圧症・糖尿病の他、月経不順・骨粗鬆症・肥満などが見られます。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

甲状腺に働いて甲状腺の機能調節を行っています。 →このホルモンが過剰になるのが、TSH産生下垂体腺腫です。甲状腺ホルモンが過剰となり、動悸、頻脈、振戦(手の振え)、発汗過多、体重減少、眼球突出などの症状が出現します。

その他のホルモン

臨床的に問題となることはほとんどありませんが、以下のものがあります。 性腺刺激ホルモン:男性では精子形成、女性では月経を調節する働きがあります。 抗利尿ホルモン:腎臓に働いて尿量を調節し、身体の水分調節を行っています。 オキシトシン:分娩時に子宮の収縮を促す作用があり、乳汁分泌を促す働きをします。

3.下垂体腺腫について

脳下垂体腫瘍の中で最も多い良性の腫瘍です。脳腫瘍の中で3番目に多く、脳ドックでもしばしば発見される病気です。ホルモン分泌が過剰である腫瘍(機能性下垂体腺腫)と過剰ではない腫瘍(非機能性下垂体腺腫)があります。

4.下垂体腺腫の症状

下垂体腺腫には以下のような症状が見られます。

●最近目が悪くなった(メガネを調整してもよく見えない):下垂体腺腫全般

●乳汁が出る:プロラクチノーマ

●不妊治療をしても妊娠しない:プロラクチノーマ

●生理が不規則になった・生理が止まった:プロラクチノーマ、アクロメガリー、クッシング病

●靴のサイズが変わった、噛み合わせが悪くなった、指輪のサイズが変わった、急激に太った、治療しているのに血圧や血糖値が改善しない:アクロメガリー、クッシング病

視野・視力障害

腫瘍が真上にある視神経を圧迫することによって、視野・視力障害が生じます。代表的なものは「両耳側半盲」と言って外側の視野が徐々に欠けてきます。放置すると失明に至ります。

ホルモンを過剰に分泌する下垂体腺腫は、以下のような特徴的な症状が出現します。

●プロラクチン産生腺腫(プロラクチノーマ)

女性では、無月経(月経不順)や乳汁漏出が起こります。不妊症の原因にもなります。男性ではインポテンツとなることがあります。

●成長ホルモン産生腺腫(アクロメガリー/先端巨大症/下垂体性巨人症)

特徴的な身体の変化が見られます。顔貌変化(前頭部・下顎が突出、鼻・口唇・耳が大きくなる)、手足、指が大きくなります。靴のサイズが大きくなったり、指輪のサイズが変わったりします。小児では身長が異常に伸びて来ます(下垂体性巨人症)。成長ホルモン産生腺腫にも月経不順や無月経が生じます。また、高血圧症、糖尿病、心疾患、悪性腫瘍を合併するため、放置すると死亡率は健常人に比べて2~3倍近くになるとの報告があります。

●副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫(クッシング病)

特徴的な体型の変化(中心性肥満、満月様顔貌、多毛など)と全身合併症(高血圧症、糖尿病、月経異常、低カリウム血症、骨粗鬆症、筋力低下など)が見られます。放置することにより死亡率が高くなります。診断が難しいため専門的な判断が必要です。昭和大学では、通常のMRI撮影に加えて「海綿静脈洞サンプリング」を行って診断の精度を上げています。海綿静脈洞サンプリング海綿静脈洞サンプリング。高度な診断技術を要します。 引用元:下垂体腺腫

下垂体性PRL分泌異常症(プロラクチノーマ)の障害認定基準

1,視野・視力障害

眼(視力・視野)の障害認定基準は、こちらをクリックして下さい。

2,糖尿病・高血圧

糖尿病 ・高血圧の障害認定基準は、こちらをクリックして下さい。

3,心筋症

心筋症の障害認定基準は、こちらをクリックして下さい。

「障害年金」申請のポイント

下記の2つが申請ポイントとなります。

1,診断書の評価

(1)医療機関に作成して貰う診断書は、「障害年金」用の診断書になります。

「下垂体性PRL分泌異常症(プロラクチノーマ)」で「障害年金」を申請しようとする場合、各々の障害に応じて利用する診断書が異なります。

 1)視野・視力障害 の場合、 眼の障害用 の診断書

 2) 糖尿病・高血圧 の場合、 腎疾疾患・肝疾患・糖尿病の障害用 の診断書

 3) 心筋症 の場合、 循環器疾患の障害用 の診断書

必要に応じた診断書を作成して貰って「障害年金」を申請しましょう。

(2)この診断書は、「障害年金」自体の支給決定の有無のみならず、障害等級の決定に大きな影響があります。

(3)診断書のポイントは、日常生活能力の評価がより正しく評価を受けているかどうかです。

 勿論、検査結果等についてはそのまま記載して頂くしかありません。ですが、その他のことについては追記等が必要な場合は主治医に相談して対応をして頂くようにしましょう。

2,病歴・就労状況等証明書の作成

(1)診断書は第三者である医療機関が作成しますが、「障害年金」を請求するご本人が自身の病状を訴える書類があります。それが 「病歴・就労状況等申立書」 です。ですので、この 「病歴・就労状況等申立書」 はご本人が作成します。

(2)この「病歴・就労状況等申立書」は、発症時から現在に至るまでの病歴などを記載する書類となっています。

(3) 「病歴・就労状況等申立書」 の作成ポイントは、主観的に記載しないことです。

例えば、「~辛かった」ことを表現したい場合、「どう辛かった」のか、それが「下垂体性PRL分泌異常症(プロラクチノーマ)」の症状にどう関係があるのか等を第三者に理解できるように具体的に記載して下さい。

病歴が長い方に関しては、記憶が曖昧になっていることが多いので、ご親族等と確認しながら作成すると良いと思います。

まとめ

以上が、簡単ですが「下垂体性PRL分泌異常症(プロラクチノーマ)」で「障害年金」を申請するポイントとなります。もしご不明な点等がありましたらご遠慮なくお問合せ下さい。

最後読んで頂きまして大変にありがとうございました。

《問合せ》は

●「電話080-3268-4215 」 又は 「こちらのフォーム(メール)」でお申込み下さい。

社会保険労務士法人ファウンダー  / 札幌障害年金相談センター 

受付時間 平日 9:00-20:00(土日祝も対応可)

連絡先 ℡:080-3268-4215 / ℡:011ー748-9885

所在地〒007-0849 北海道札幌市東区北49条東13丁目1番10号